心の安全基地とは:人間が生きていく上で土台となるもの

私たちは、不安を感じたときや、困難に直面したとき、ふと立ち寄りたくなる心の場所を持っています。それが「安全基地」です。
あなたには、「安心して、ありのままの自分で、そこに居ていい」そう思える場所はありますか?
安全基地は、心理学者のジョン・ボウルビィによって提唱された愛着理論における重要な概念で、特定の他者との間で築かれる、安心感と信頼感に満ちた関係性を指します。

安全基地となる人は、私たちにとって頼りになる存在であり、安心感と安らぎを与えてくれます。
その人の存在を感じるだけで、私たちは、安心して社会に出ていくことができたり、困難に立ち向かったりすることができるのです。
「安心して そのままの自分で、そこに居ていい」そう思える場所、本来、その場所は「家庭」なんですよね。
安全基地はどのように作られるの?

安全基地は、主に幼少期の養育者との関わりを通して時間をかけて築かれます。特に重要な要素は以下の点です。
一貫性のある応答性: 子どものサイン(泣く、笑う、甘えるなど)に対して、養育者が一貫して適切に反応してくれること。「お腹が空いたのかな?」「寂しいのかな?」と子どもの気持ちを理解しようとする姿勢が大切です。
温かく受容的な態度:子どもの感情や欲求を頭ごなしに否定するのではなく、温かく受け止め、共感してくれること。「そうだね、悲しかったね」「頑張ったね」といった言葉かけは、子どもの安心感を育みます。
物理的な安全と安心: 子どもが危険な目に遭わないように保護することはもちろん、安心して過ごせる安定した環境を提供することも重要です。
情緒的な安定:養育者自身が情緒的に安定していることが、子どもの安心感につながります。養育者の不安定さは、子どもの不安を煽る可能性があります。
これらの積み重ねを通して、子どもは
「自分は大切にされている」
「困った時には助けてもらえる」
という感覚を無意識にインストールしていきます。
この内面化された感覚こそが、私たちの中の根拠のない自信となり、心の安全基地となるのです。
安全基地が育ってない場合、どんな困り事があるの?
安全基地が十分に育っていない場合、子どもだけでなく、大人になってからも様々な困り事を抱える可能性があります。
子どもの発達における困りごと
分離不安の強さ: 親から離れることへの強い不安を感じやすく、幼稚園や保育園への入園、親との一時的な別れに強い抵抗を示すことがあります。
探索意欲の低さ: 不安が強いため、新しいことに挑戦することを恐れたり、興味を持てなかったりすることがあります。
他者への不信感: 周りの人を信頼することが難しく、友達関係を築きにくかったり、集団行動に馴染めなかったりすることがあります。
感情のコントロールの難しさ: 不安や怒りなどの感情が爆発しやすく、癇癪を起こしやすいことがあります。
親への過度な依存: 自立心が育ちにくく、親に過度に依存してしまうことがあります。
大人になってからの困りごと

子育てへの不安: 親自身が安定した安全基地を持てていない場合、わが子にどのように安心感を与えれば良いか分からず、子育てに不安を感じやすいことがあります。
対人関係の困難さ: 親密な関係を築くことへの恐れや、相手を信頼することへの抵抗感が強く、恋愛や友人関係が長続きしにくいことがあります。
自己肯定感の低さ: 「自分は愛される価値がない」と感じやすく、自己肯定感が低い傾向があります。
ストレスへの脆弱性: ストレスを感じやすく、些細なことにも過剰に反応してしまうことがあります。
精神的な不安定さ: 不安障害やうつ病などを発症しやすいリスクが高まります。
依存的な行動: キャリアや人からの評価に執着したり、アルコールや薬物、ギャンブルなどに依存しやすい傾向があります。
共感性の低さ: 他者の気持ちを理解したり、共感することが苦手な場合があります。
安全基地の形成が不十分なまま大人になった人が今からできること
幼少期の生育過程に問題があったり、過去の経験によって、安全基地が十分に育っていないと感じられる場合でも、今からできることはあります。
それは、新たな安全基地を意識的に築いていくことです。

信頼できる他者との関係を育む: 友人、パートナー、家族、同僚など、安心して話せる、信頼できる人との関係を大切に育てていきましょう。時間をかけて、お互いを理解し、支え合う関係を築くことが重要です。
セルフケアを大切にする: 自分の心と体の状態に意識を向け、リラックスできる時間を持ったり、趣味を楽しんだり、十分な休息を取るなど、自分を大切にする時間を作りましょう。
小さな成功体験を積み重ねる: 目標を小さく設定し、それを達成していくことで、自己肯定感を高めることができます。「できた!」という感覚を積み重ねることで、少しずつ自信を取り戻していきましょう。
アタッチメントに関する知識を深める: 愛着理論に関する書籍を読んだり、セミナーに参加したりすることで、自身の過去の経験や現在の人間関係について理解を深めることができます。
焦らず、時間をかける: 安全基地を再構築するには時間がかかります。焦らず、一歩ずつ、自分自身と向き合っていくことが大切です。
一人では難しい…そう感じたときは
心の安全基地は、私たちが生きていく上で、心の健康を保ち、より豊かな人間関係を築くための基盤となります。

もし、過去の経験から安全基地が十分に育っていないと感じても、決して諦める必要はありません。今から意識的に取り組むことで、少しずつ心の土台を安定させていくことができるのです。
しかし、安全基地を育むプロセスを「難しい…」「自分にできる気がしない」そう感じる方も少なくありません。
なぜなら、本来、安全基地は、養育者との安心と信頼の関係性の中で育まれるものだからです。
私たちが提供する「心の土台構築実践プログラム」では、カウンセラーが親代わりとなり、安全な環境の中で、あなたの気持ちに寄り添い、具体的な対処法を一緒に考えていきます。
私たちは、決してあなたを一人にしません。一人で抱え込まないで下さいね。
カウンセリングルーム ポポラス/ カウンセラー ▼
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