大学を中退、引きこもりがちなわが子|自立に向けて親が見直したいこと

大学を中退して実家に戻り、自分の部屋に引きこもりがちなわが子。
周りの子は順調に大学に通っていたり、就職して働いている子もいる。少しずつ自分の人生を歩んでいるのに、うちの子は…。
そんな姿を見ていると、心配でたまらなくなりますよね。
「この先どうなってしまうんだろう」
「いつまでこんな調子なんだろう」
「このまま引きこもってしまうのでは」
そう思う一方で、何もできずにいるわが子を放っておくこともできない。
そんな不安を抱えているお母さんもいらっしゃると思います。
カウンセリングでも、こうした悩みを抱えるお母さんのお話を伺うことはよくあります。
私自身も、娘が大学を中退して実家に戻り、なかなか自立できなかった時期を経験しました。
だからこそ、周りと比べて焦ったり、「どうしてうちの子だけ」と思う気持ちはよくわかります。
ただ、今のお子さんの姿を見て、嘆いているだけでは見えてこないこともあるんです。
今、できていないことだけを見るのではなく、なぜ今この子はこういう状態にあるのか。
これまでの親子の関わりから、そこを振り返ってみてほしいのです。
成人したら、何でも一人でできて当たり前?
カウンセリングでよくあるのが、お子さんの年齢が上がるにつれてお母さんの中に、ある考えが強くなることです。
それは、
「もう大学生なんだから自分でできるでしょう」
「いつまでも親に頼らず自分のことは自分でやるべき」
という考えです。
確かに、年齢を重ねるにつれて自分のことを自分でできるようになってほしいと思いますよね。
けれど、ここで一度考えてみてほしいのです。
子どもは年齢が上がれば、自動的に自立できるようになるのでしょうか。
自分で考えて行動することも、失敗したときにどうするか考えることも、人間関係で困ったときに対処することも。
こうした力は、ある年齢になったら突然身につくものではありません。
小さい頃から、自分で考えたり、選んだり、うまくいかなかった経験をしたりしながら、少しずつ身につけていくものです。
幼い頃から、子どもが自分で考えて行動できるように、親が必要なところをサポートしていく。その積み重ねが、やがて自立につながっていきます。
もし、そうした経験を十分に積めていなかったとしたら。大学生になっても、成人しても、自分でできないことがあるのは不思議ではありません。
だって、まだ習っていないし、練習する機会もなかったのですから。
年齢だけを見て「もうできるはず」と考えてしまうと、今のお子さんに何が必要なのかが見えにくくなってしまいます。
過干渉によって、子どもが経験する機会を奪っていなかったか
ここで振り返ってほしいのが、これまでの子育てです。次のような関わりが多かったのではないでしょうか。

- 子どもが困らないように、親が先回りして備える
- 親が、子どものスケジュール管理をしてしまう
- 子どもが自分で考えるより先に、親が答えを出してあげる
私たち母親としては、子どものためを思ってしてきたことですよね。子どもが困っている姿を見るのはつらいですし、失敗して傷ついてほしくないと思うのも自然なことです。
けれど、親が先回りして解決することが続くと、子どもが自分で考えたり、試行錯誤したりする機会を持てなくなってしまいます。
- 自分で決めてみる
- うまくいかなかったら、何がいけなかったのか考える
- 次はどうすればいいか、自分なりに工夫してみる
こうした経験を重ねることで、子どもは少しずつ自分で物事を進める力を身につけていきます。親がすべて整えてあげることが、必ずしも子どものためになるとは限らないのです。
もちろん、過干渉だけが自立できない原因につながるわけではありません。子どもの状態やこれまでの経験は一人ひとり違います。
だからこそ、今、目の前のお子さんが出来ずにいる姿を見たときに、「どうしてできないの?」と問い正すのではなく
「この子は、これまで自分で考えたり、失敗したり、やり直したりする経験を積めてきただろうか」
と、振り返ってみてほしいのです。
私も、つい周りの子と比べていました
私の娘も、東京の大学に通っていましたが、卒業まであと半年というところで鬱の診断を受け、大学を中退して福岡の実家に戻ってきました。
その後、しばらく自立できず、プラプラと過ごしていた時期があったんです。
周りの子たちが大学を卒業し、就職していく。そんな時期になると、
「なんで、うちの子だけこんなふうになっちゃったんだろう」
「周りの子は順調に進んでいるのに、どうしてうちの子だけは…」
そんなふうに、比べてしまうことがあったんです。
心理カウンセラーとして、いろいろなことを学んできた私でもそう思うことがありました。
だから、今、わが子の将来が見えず、不安でたまらないあなたが、周りの子と比べてしまう気持ちもわかります。
頭では比べても仕方がないとわかっていても、目の前のわが子の姿を見ていると、どうしても気になってしまうんですよね。
けれど、周りの子ができていることを基準にして、わが子を見続けていると、今のお子さんに必要な関わりに気づくことができません。
周りの子と同じようにできるかどうかではなく、今、この子には何が身についていて、何がまだ難しいのか。
そこに目を向けることが大切なんです。
子どもの自立に必要なことは、今から取り戻していく
では、すでに大学生や成人になった子どもが、自分のことを自分でできない場合、親はどうすればいいのでしょうか。
年齢だけを基準にして「もう大人なんだから」と突き放すことではありません。
今、本人が困っていることや、自分ではうまくできないことがあるなら、そこに必要なサポートをしていくことです。

たとえば、
- お金の使い方
- 人間関係で困ったときの対処
- 自分の気持ちが乱れたときに、どうやって落ち着かせるか
大人になれば、こうしたことが必要になる場面はたくさんあります。けれど、年齢を重ねていてもどうすればいいのかわからないことはあります。
私自身、娘が成人してからも、お金の使い方や人間関係、自分のメンタルを整えることなど、本人が苦手としている部分について、根気よくサポートしてきました。
これは、本人ができないことを、いつまでも親が代わりにやってあげるという意味ではありません。
本人が自分でできるようになるために、必要なことを一緒に考えたり、関わったりしていくということです。小さい頃に身につけておきたかったことが、今、必要になっているのなら、今から取り組んでいけばいい。
お子さんの状態によっては、親のサポートだけでは難しいこともあります。
その場合は、息子さん、娘さんの状態に合った、専門家や支援機関の力を借りることも必要です
大切なのは、今できていないことを嘆き続けるのではなく、これから何を身につけていく必要があるのかを考え、根気よく練習を重ねていくことです。
私たち母親も、子育てを教わってきたわけではない
ここまで読んで、
「私が小さい頃から教えてあげられなかったから、今こんなことになっているんだ」と、自分を責めている方もいらっしゃるかもしれません。
けれど、私たち母親も子育てに必要な関わり方を、十分に教わる機会があったわけではありません。
自分の親との関わり、テレビや周りの人たちの様子、世間の常識から必要だと思うことを、なんとなく学び身につけてきた。
そうして、自分が知っているやり方をもとに子育てをしてきた方が、ほとんどではないでしょうか。私自身もそうでした。
子どもが自分で考え、行動できるようになるためにどんな関わりが必要なのか。
失敗する経験が、子どもの成長にどうつながるのか。私も、もっと早く知りたかったと思うことがたくさんありました。
だから、過去を振り返り、足りなかったことに気づいたとしても、知らなかった自分を責め続ける必要はないんです。
年齢という物差しをいったん脇に置いて、今のお子さんに目を向けること。そこから、これからの親子の関わりを考えていけるのではないでしょうか。
そしてもし、子どもとの関わり方を変えたいと思っても、どうしたらいいかわからなかったり、自分の不安や焦りが強くて、うまく関われなかったりするなら、お母さん自身がサポートを受けることも必要です。
一人で抱え込まず、カウンセリングなどを通して、自分の気持ちやこれまでの親子関係を振り返っていくことも、一つの方法です。
